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執筆者の写真京都カラスマ大学

今日も京とて、お番茶日和|京都カラスマ大学学長日記(5/4)

更新日:2020年12月16日

今日の課題:お茶を飲みましょう
2020年5月1日(金)
最高の天気。半袖で過ごす。午前中は英会話のレッスン。そのままソルムにいたら、夕方、Aちゃんが納豆パスタを作ってふるまってくれる。納豆屋さんも交えて、久々に、涙が出るくらい「どうでもいい」話で笑う。東京の編集者から、お仕事の電話「取材って、できます?」。SNSでは給付金が申請が始まったとか繋がらないとかの話題。体温は36.4度。
2020年5月2日(土)
暑い。30度くらいある。そういえば、5月になっていた。長かった、あるいは失われた4月を思って、ちょっとぼんやり過ぎていく1日。そういえば、ゴールデンウィークに入っていた。夜になってから近所のスーパーへ。いつもは24時閉店のところ、20時閉店のアナウンス。体温は36.3度。ロックダウン中の入江敦彦さんから、巷で噂の「ブックカバーチャレンジ」のバトンを受け取ったので、DAY1スタート。
2020年5月3日(土)
曇り、時々雨。先日買ったばかりのスプレーバラの元気がすっかりなくなってしまったので、思い切って花をカットして、しばらく洗面器の水にドボンと浸けてみる。アタリか、ハズレか。友人のお父さんが有機で栽培したという新玉ねぎをスライスしておいしくいただく。コーヒー飲みすぎ。家から出なかった。体温は36.3度。緊急事態宣言延長「5月31日まで」の方針だとか。

こんにちは。京都カラスマ大学の高橋マキです。ウィズコロナな日々を「離れていても一緒に学ぶ」方法として日記を始めることにしました。詳しい経緯は、初日のブログをご覧ください。ズルッと3日あけてしまったので、今日はちょっと長めに書いてみます。


さっそく本題。




今日の課題:お茶を飲みましょう

夏も近づく八十八夜。と書いた原稿を、以前英訳してもらったら「88 nights」になってきて、あらこれどうしましょうと悩みに悩んだことがあるのですが。2020年になって88日目の日ではなく、立春の日から88日目が八十八夜です。種まきや田植え、お茶を摘むなど、春の農作物の作業が行われる時期で、農業をする人にとって大切な日だと言われています。おそらく今でも変わらないでしょう。


ここのところインバウンドで需要が盛り返していた宇治茶ですが、今年はこんな状況なので、お茶摘みさんが少ないかもしれないとのこと。無事に新茶が私たちの手元に届くのを祈るばかり。少し前のある晴れた日、宇治で6代に渡り、本簀(ほんず)栽培の茶園を営んでいる茶農家さんの茶畑にお邪魔しました。30分のつもりが、気付けば2時間近くが経過。農作業の途中にとんでもないお邪魔虫。




「今では希少になった本簀栽培は400年程前から宇治に伝わる栽培法であり、現在においても至高の栽培法とされております。」


と、言われても何が何だかきっとわからない人の方が多いはず。

本簀(ほんず)とは、茶園の上に棚を作り、ヨシの木で編んだすだれ状の「よしず」を広げ、その上に、稲を干した「わら」を葺いて、茶畑に日陰を作る栽培方法。現代では、そんなの面倒だし、そもそも稲刈りと同時に機械で瞬時に粉砕されるため、この世にもうほとんど「わら」というものが存在しない。ほとんどの畑では、寒冷紗という黒くて軽い丈夫な布を使って、茶畑に日陰を作っています(これだと、20年くらい使い続けられるそう)。


今回初めて、その面倒くさいすだれの下に入ってみて(まだ、わらが乗せられる前でした)、気づいたこと、わかったことがたくさんありました。百聞は一見にしかず。


乾燥したわらに大豆を入れておくと納豆ができますよね(これは、多くの人が知識としてなんとなく知ってるはず)。茶園も、ただ直射日光を遮るだけでなく、雨が降ったり、風が吹いたりして、きっとわらから「何か」が茶の木の新芽にふりそそぐことで、お茶を美味しくするんだ、と思いました。それが何なのかわからないし、名前が付いているのかどうか、科学的に実証されているかどうかもわからないけど、多分そういう「目に見えないけど、私たちと共存してきた何か」を、私たち現代人は、昭和30年くらいのどこかで置き忘れたり排除したりしてきてしまったんだ、ということ。


日本茶を茶葉で入れるのは「面倒だ」と思い込んでしまって、多くの人がお茶のつもりでペットボトル飲料を選んで「お茶を飲んだ」気分になっているけど、工場で大量にクリーンに生産されたそれは、果たして「お茶」なのでしょうか。


多くのカルチャーと同様に、お茶の木も仏教とともに中国から伝来した「お薬」でした。「面倒だ」なんて言ってないで、わらを使うだとか茶葉でお茶を入れる習慣だとかを、もう一度私たちの手に取り戻してもいいんじゃないかな、と思います。それに、喉を潤すだけではなく「お茶を淹れる時間」「ちょっと一服、お茶する時間」の豊かさも。covid-19が、私たちに教えてくれることは、本当にまっとうすぎて、つくづく憎らしい。


これからの季節は、煎茶の茶葉(お茶パックに詰めてもいい)と水を冷水ポットに入れて、ひと晩冷蔵庫で冷やすだけの「水出し煎茶」もオススメですよ。やってみてください。

茶葉でお茶を淹れる。何が面倒なんだっけ?


 
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