※2021年10月30日(土)開催「下京暮らしの手帖」と一緒に歩く京都のまち〜「賑」編の授業レポート(その2/番外編)です。
みなさん、こんにちは!
京都女子大学で社会教育基礎実習を履修している建林朋香と田中乃絵留です。私たちは、「下京を知ろう」という目的で、「下京暮らしの手帖」と一緒に歩く京都のまち〜「賑」編に参加しました。
まず初めに、今回のまちあるきに参加して、それぞれ感じたことを紹介します。
建林:私は今まで旅行でもない限り、地元の方に話を聞くという機会がありませんでした。そのため、京都のことはメディアで取り上げられている様な上辺のことしか知りませんでした。しかし、今回の“まちあるき” で実際に地元の方の “おすすめ” を聞いてみて、単に情報を得るということだけでなく、そのお人柄の良さまで感じることができ、人と触れ合うことの楽しさを実感しました。
田中:私は普段、京都へは通学で訪れるのみだったので京都の街並みをじっくり見たことがなく、その中の一地域という視点で見たことも正直ありませんでした。なので、このまちあるきを通じて少しでも「知っている」を増やしたいという思いがありました。振り返ってみると、あちこち歩き回っていろんな発見を得たのだなあと改めて思います。異国の雑貨を扱うお店、伝統的なお茶の楽しみ方、気軽にお茶を楽しむことのできるイベント、古くからありそうなべっ甲のお店など…現代ならではの色と昔ながらの色、両方を楽しむことができた体験となりました。
また、「下京暮らしの手帖」がこのまち歩きをより楽しいものにしてくれる道しるべになっているとも思いました。かわいらしく温かみのあるデザインは見るのも楽しく、SDGsについても併せて知ることができます。
しかし!!!
京都初心者である私たちは、スタートからいきなり中京区に入っていたことに全く気づいていなかったことに、途中でやっと気づきます。この “まちあるき” を通して "下京の範囲を知る” というなんとも言えない初歩的な学びをしたのでした。そのため、今回の報告の前半の内容は、目的からはずれ、中京区での出来事となっていますが、ご容赦ください。
では、2時間の間に私たちが辿った道のりをご紹介します。
現代の色と古風の色~私たちの歩いた道のり~
私たちは集合場所だった大丸のエントランス前でほかの参加者のみなさんと解散した後、「下京暮らしの手帖にある井戸水を飲んでみよう」を達成するために、「醒ヶ井の水」がある『亀屋良長』を目指すことにしました。
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最初に訪れたのは錦市場の『宇治屋』です。お茶の匂いに誘われ、つい足を止めて、「秋の新茶」を購入してしまいました。
新茶が出るのは初夏と思っていたので、秋に新茶を売っているのを見て驚きました。現在、「新茶」はその年の最初に生育した新芽を摘みとって作ったお茶のことを指すため、夏の初め頃になると店頭に並ぶのが一般的だそうです。
しかし、かつては、初夏に摘まれた茶葉を壺に入れて低温貯蔵し、熟成させていたそうで、それをその年の「新茶」としていたようです。そうすることで風味が増し、新茶特有の青臭さが抜けてまろやかでコクと深みのある茶葉となり、「後熟」として親しまれていたそう。
徳川家康も晩秋にお茶会を開くほどこの後熟を好んでいたんですって。
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2ヶ所目は『らくたび京町家』です。この日、四条烏丸界隈で行われていた「KARASUMA大茶会」のイベント会場のひとつで、ここではお茶席の体験をすることができました。流派は「裏千家流」で、
“お菓子を全て頂く→次客に「お先に」と挨拶をする→亭主に「お手前頂戴します」と挨拶をする→茶碗を左手に乗せ、右手で手前に2度回してから頂く→最後の一口は音を立てて吸い切る→飲み口を指で清める→茶碗を手前から向こうへ2度戻す”
と教わりました。あまり畏まったお茶会ではなかったため、先述したお作法以外の動作は省略されていましたが、十分にお茶会の雰囲気を味わうことができ、心が安まりました。
また、今回は松籟園の「千賀の浦」の薄茶と、老松の「藤袴」という主菓子を頂きました。本来主菓子は薄茶よりも3倍程濃い “濃茶” と一緒にいただくもので、薄茶の場合はお干菓子なのですが、今回の主菓子はこの日のためだけに作られた特別なものだそうです。
藤袴の上に雨の水滴が乗っている情景を表現しており、食べるのが勿体無いほど綺麗でした。
さらに、こちらでは、入り口で勧誘しておられたユーモアのある男性や、受付で親切に対応してくださった女性との素敵な出会いがありました。そして、このおふたりから、聖徳太子が作った「六角堂」と、大極殿本舗六角店の甘味処「栖園」を紹介してもらいました。
場所をGoogle MAPで調べてみるとどちらも中京区だったため、その時は、「今日は中京区は関係ないしなー。また別の機会に行くとしよう」と考えたのですが、ここで、そもそも自分たちがいた場所が中京区だったということが判明したのでした(六角堂は現在聖徳太子の生誕1400年祭を行なっているようなので、奈良県民の私としては、次の機会にぜひ行ってみたいと思っています)。
後半では、四条通りを南へ渡って、やっと下京区へ戻ってきました。
特に目的地は決めず、後半でも「下京暮らしの手帖」を参考にしつつ、ふらふらと歩きまわってみました。私たちが出会ったもののなかで特に印象に残ったものをピックアップしてお伝えします!
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思わず足を止めたのは、トルコランプや雑貨、キリムと呼ばれる織物などを扱うお店『キリム アナトリア』です。
何といっても目を引くのが、入口にところ狭しと並べられたカラフルな食器!なんて綺麗なのだろうと立ち止まってじっくり見つめていました。ガラス越しに見える店内の天井にはトルコランプがいくつも吊り下げられていて、見ているだけで暖かな気持ちになりました。
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続いて、洛央小学校の前を通り過ぎようとした際に、ふと「何かがある」と気づきました。一見すると用水路に関するものかに見えたそれは、水琴窟(すいきんくつ)と呼ばれるものでした。レンガの囲いの中には甕(かめ)があり、その周りに栗石が敷き詰められているそうです。甕の中に水滴が落ちる音を楽しむものだそうで、私はそのようなものがあることを初めて知りました。
「小学校のすぐ前にあったことから洛央小学校に関係のあるものなのかな?」や、「醒ヶ井水のことも踏まえると、水にゆかりのある土地なのだろうか?」といった想像が膨らみました。この日は残念ながらこの「天水琴」から水の滴る音を聞くことはできませんでしたが、水が流れていたらぜひ耳を澄ませてみてください。
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私たちは「できれば下京暮らしの手帖のNo19『今日のお寺の掲示板には何て書いてある?』を達成したい」とも思っていました。
そして写真の通り、達成することができました!
見つけたのは常光寺というお寺のもの。書かれていた標語にはこう書いてありました。
生を奪う死は、誠に悲しい。でも生きる意味を与えてくれる。
短い文章でありながら、普段あまり意識しない「生きる」ということについて考えさせられます。このように標語を見て物思いにふけるのもまた、楽しいです。
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2枚目、3枚目の写真は、べっ甲細工等を取り扱う、古くからありそうなお店『ひし藤小間物店』です。訪れた時は閉まっていましたが、ガラスの向こうにはべっ甲で作られたであろうかんざしなのが置かれていました。
小物も気になることながら、歴史を感じさせる年季の入った看板のほうにも目が行きました。とても古そう!いつからこの場所で営業されているのだろうかと気になりました。
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最後に紹介しておきたいのは、親切に教えてくださったまちのみなさんです。
慣れないエリアでのまち歩きだったので、何度か、まちの人と短いながらお話をする機会がありました。その中からとっておきのエピソードを一つご紹介します。
一見すると何のお店なのかわからない、そもそも自由に立ち入っていい場所なのかも不明なお店があり、私たちはどうしようかと戸惑っていました。
その時、お店の近くに人がいらっしゃったので勇気を出して尋ねたところ、そこは着物に関係するお店であることと、ふらっと立ち寄るのはまずいかもしれないということを優しく教えていただきました。
親切に教えてくださったこと嬉しかったこととともに、普段見知らぬ人に質問することはめったにないので、それもまた貴重な体験になったと感じました。
その後もふらふらとお店を見ながら歩き回り、なんと、時間切れで最初の目的地、醒ヶ井の井戸には行けず終い。慌てて集合場所の大丸京都店屋上芝生に向かいました。
そこでは10人の参加者一人ひとりが、「下京暮らしの手帖」を相棒に、どこに行き、何を見て、何を感じたのかを共有しました。
「五香湯へ行ってゆっくりしてきた」「大きな木を探した」など、みなさんそれぞれどんな目的をもってまちを歩いたのかも様々でしたが、偶然にも「百貨店に行ってみた」という方が何人かいらっしゃったのが興味深かったです。体験を共有し、写真撮影の後に解散となりました。
みなさんもぜひ、「下京暮らしの手帖」を片手に、充実した時間を過ごしてみてください!
レポートと写真:京都女子大学発達教育学部/建林・田中
追伸)
下京区のことや自分が暮らす/働くまち(ご近所さん)のことで、「こんな風に楽しんでるよ」「こんなことが知りたいんだよね」ということを気軽にコメントできるLINEオープンチャットを作りました。
気になっていたけど授業には行けなかった〜という方、ぜひご参加くださいね!
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