top of page
執筆者の写真京都カラスマ大学

【授業レポート】Vol.2/近寄ってみたら、みんなおかしい。「私の知らないぐるりのこと」

更新日:2022年12月11日


 

錦市場や寺町通にシャッターが降り始めた頃、すぐ近くにある御幸町通の一角に、柔らかい光に包まれたお洒落なお店が見えてきた。ここが今回の授業の教室である『ビアパブICHI-YA』。店内はすでにビールを片手にした数名のお客さんたちで賑わっていました。


目に飛び込んでくるのは、こだわりの料理たちがハンドペイントで鮮やかに書かれたメニュー黒板。様々な賞をとったであろうメダルがさらにカラフルに彩られ、音楽の流れるなんだか落ち着いた店内。僕たちスタッフは、準備のために少し早く教室に向かい、ひと足お先に腹ごしらえします。



そんなモダンな雰囲気のお店の半分が、今日のカラスマ大学。のはずが、、、


「カラスマ “酔っ払い” 大学の皆さんようこそ!」


という粋な乾杯から授業を始めてくれたのは、一乗寺ブリュワリーオーナーで、精神科医の高木俊介さん。このひと声で、会場の笑顔とともに授業が始まりました。


先月から月イチ開催で始まった「私の知らないぐるりのこと」2回目の授業。この企画は毎回、「このまちの大人」をゲストに迎えて一乗寺ブリュワリーのブランドテーマでもある「近寄ってみるとみんなおかしい」を合言葉に、「未来への対話の場」を生み出すための場として、おいしいドリンクとゆるやな時間を語ります。


前回メイントークをしていただいた高木俊介さんが、今回からはホストです。







まずは、本日ゲストのメディアクリエイター・山田秀人さんをご紹介。


なかなか聞きなれない肩書きを持つ山田さんに対して、高木さんは「(IT、デジタルのお仕事だけれど)アナログの不便さ、道草から見える物事の面白さを大事に活動されているようだ」と話を切り出しました。


「デジタル技術が発展する一方で、受け手側の楽しみがなくなってきた。だから人間が余白を楽しめる媒介をいかにつくれるかにこだわってきた」という山田さん。ゲームクリエイターという肩書きを経てなお、デジタルを駆使しながらも、結局ひとが大事にしてきたアナログのいい部分を表現してこられたようです。



例えば、機械とのコミュ二ケーションがとれることを目的に創られた「表情を持つ自動販売機」。ガシャンと勢いよく缶が落ちる音、腰をかがめて取ること、こういった一見無駄と思うようなことが、意外と大事な要素だった、という話がユニーク。


例えば、バイオフィリア(人が自然に求める愛着)からリラックス効果(ホワイトノイズ)をもたらすために、マンションの中にいても一年の京都の四季を感じられるサウンドスケープ。これには、山田さんご自身が8年前から京都で暮らすようになって、感じたことが反映されています。鴨川の水音、虫や鳥の声で時間の移り変わりを感じたことがヒントとなって、まちと自然のミクスチャー加減を表現したのだと話します。

そんな様々なアイデアを出しては各界で鮮烈な取り組みをしてきた山田さんとの対話では、終始「アナログとデジタルの違いや価値」が、さまざまに角度を変えて盛んに交差していきました。

また、長年精神科の治療を続けてきた高木さんは、「最近の人は、体内時計を崩して体調も崩している」と言及され、これを受けて山田さんが「デジタルから自然へ、人を返すことに取り組んできた」言われたことに驚きました。


自然と人、体内時計。「デジタル」という言葉からみごとに離れた感のある、まさに近寄ってみないとわからない話題にあふれた対談のお時間は一旦終わり、今度は生徒同士3〜4人のグループに分かれてテーブルを囲みます。


授業コーディネーターを担当している山倉さんが企画する「季節の黒板メニュー」の今夜の料理は美味しいおでん(もうそんな時期になってきましたね)とおはぎでしたが、料理やビールのおかわりをする人もちらほら。



ハジメマシテの人がほとんどなのですが、それぞれの輪では、高木さんや山田さんも交え、年代やバックグラウンドを越えて様々な会話が交わされ、あっという間に時計の針を進めます。


最後は、質問したり、各グループでの印象に残った話をシェアしたりして教室全体で共有。中には、80代のお母様と共に参加された方もいらして、際の対戦で経験された沖縄戦から現代のウクライナ紛争の話や現在の恋愛の話まで広がっていったグループも!

8年前に京都に移住してきたというゲストの山田さんが京都に住むと決めたきっかけは、まちと自然のバランスが良くローカリズムを感じたからだとか。そんな経験から、ローカルヘルプ・マッチングサービスOmotenaという新しい旅行者サポートアプリを提供し、その土地に詳しい人からの情報提供を通したWIN WINの関係性が構築され始めているというお話にも、みんな興味津々。


21時半に授業が終わった後も、あちこちに居残り組で放課後コーナーが始まり、まだまだお話はつきません。これは、普段の学校や職場と家の往復だけでは決して会うことの出来ない出会いがあったからこそ。それぞれの世界を広げられた発見で心が少し軽くなって、ほろ酔い気分で素敵な教室を後にしました。

「私の知らないぐるりのこと」vol3は、来月も第四木曜日の10月27日。ゲストは映像作家/葡萄農家見習いの丹下紘希さんということで、次回も非常に楽しみに足を運びたいと思います!



レポート:飯島剣

写真:浅井葉月

授業コーディネーター:山倉あゆみ


 

京都カラスマ大学から支援のお願い

京都カラスマ大学は、みなさんからの寄付とボランティア精神で運営しています。どうかみなさんで少しずつ、京都カラスマ大学の活動を支援してください。次もいい授業をつくるための寄付の方法は3つです。


◆「つながる募金」 ソフトバンクの携帯代と一緒に支払えます
◆「SUZURI」 カラスマ大学オリジナルグッズを選んでください
◆振り込み:特定非営利活動法人 京都カラスマ大学
【京都銀行】下鳥羽支店 普通口座3141273


Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page