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執筆者の写真京都カラスマ大学

【授業レポート】きれいな地球と共に、漆を次世代へ

更新日:5 日前

※2024年9月8日(日)に開催した京都カラスマ大学授業「きれいな地球と共に、漆を次世代へ」ボランティアスタッフによる授業レポートです。


 

こんにちは!カラスマ大学ボランティアスタッフの倉本芽美です。普段は大学生をしています。


本授業は、エコ学区サポートセンター((公財)京都市環境保全活動推進協会)との連携事業として行われました。私は、漆から持続可能な地球を考えるという私にとって意外な関係性に惹かれ、この授業に参加しました



まずは、エコ学区サポートセンターから、京都市が抱えている地球温暖化に対する問題意識と、そのための活動の紹介がありました。


地球温暖化が進んでいる今、脱炭素ライフスタイルへの転換が求められています。気温2度上昇すれば、異常気象も発生します。


これらを防ぐためにはエネルギー消費量を減らすことが必要ですが、現状、家庭部門のエネルギー消費量は少ないため、今後より削減していけるのではないかと、エネルギー消費量を減らす方法を、京都市は市民への学びの場を設けて伝えています。



そして今回の授業では「伝統産業とサステナビリティ」を考える時間となりました。


まずは参加者のアイスブレークとして、「今日の授業になぜ参加?」「地球の未来のために今、何してる?」を共有しました。生徒のみなさんの多くは、漆への興味からのご参加でした。




そして、本日の先生、堤淺吉漆店4代目の堤卓也さんからお話です。


まずは、漆について、実物の漆の木を見ながら解説がありました。漆の木にどうやって傷をつけ、どうやって漆をとるのか、実際の道具も見ながら解説を聞きました。15年かけて育てた漆の木1本から採取できる漆は、たったの200グラム程度だそうです。



漆の採取・活用は、縄文時代から今日まで続いています。京都の重要文化財である金閣寺や阿修羅像などにも漆は使用されています。漆は、人々が生活の中で必要とし、これまで大切に守られてきました。




しかし、堤さんが生まれた年、1978年には500トンだった漆の使用量は、経済拡大や生産性至上によって現在では23トンへと激減しています。そのうち国内産はわずか5パーセントです。漆が減っていく危機感、日本の伝統も衰退していく危機感を感じてしまいます。


そこで、堤さんはどうやって漆を継続させていけるのか模索し、漆を発展させようと尽力されています。堤さんは「自分にとって漆は暖かい存在で、子どもたちに残していきたい」と語っておられました。




漆の可能性を広げるため、「BEYOND TRADITION」を掲げ、国や世代を超えて漆の魅力を伝え、漆の新しい可能性や価値観を伝える活動をされています。具体的にはサーフボード、スケートボードと自転車に漆を塗り、それらを通して漆について伝えていらっしゃいます。例えば米・フロリダでサーフボードを紹介されると、現地の方から、日本人が縄文時代から続く漆文化を継承して来たことを賞賛されたそうです。




漆職人である堤さんは、漆だけでなく、漆の木を育む環境にも配慮されています。縄文時代から人々の生活のそばにあった漆を植え、育て、つくり、使うといった行為が循環するモノづくりと、その循環を成立させる人の生態系を目指す「工藝の森」でも植林などの活動をされています。ここで小さなコミュニティであっても、確実で強い絆を作りながら、サーフボードの作成などを行っておられます。




堤さんは、「きれいな地球と共に、伝統文化を次世代につなぎたい」という信念を胸に活動されています。「子どもたちが環境のことを考えなければならない。そして様々に問題を抱える環境を作り出してしまった上の世代は間違っていたと気づき始めている。気づいたら今の子どもたちに楽しく伝える。楽しく生きながら次の世代のために何ができるのか考えることが大切で、そうすれば漆も生きてくる」と堤さんは語っておられました。小さな循環する輪を大切にしながら、工芸を通して人と自然の関係性をつなぎなおし、より良い世界の貢献に尽力される堤さんのお話に私たちも感銘を受けました。




堤さんのお話を聞いた後は、「京都は好きですか?」「京都は何を大事にしていると思いますか?」「京都の文化のどんなところが好きですか?」「その思いはどこから来ましたか?」といった問いを各自で考え、フロアで共有しました。






長年京都に住んでおられる方や、京都外から来られた方など、参加者の様々なバックグラウンドが反映された回答が行きかい、みなさんのお話をじっくり聞きたくもなりました。


最後には、「私にできること」を考えました。節電やごみの量を減らすなど、今回考えた自分にできることが今後実践されていくことを期待したいと思います。


生徒のみなさんからは、「漆の可能性は大きいと知ることができた」「もっと漆に目を向けてみたい」「持続可能な社会のために自分にできることを生活の中でやっていきたい」との声がありました。



私自身も「漆」と「持続可能性」が組み合わさった実践がなされることで京都の文化のみならず、環境を守っていくことができると気づかされました。大量生産大量消費の時代ですが、京都に残る伝統文化など、目の前の一つ一つのものを大切に守り、使い続ける生活を実践していきたいと思います。


レポート:倉本芽美

写真:やまくらあゆみ





▼エコ学区サポートセンターによるレポートはこちらから



 

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